〜花


花を
買いましょう。
小さな花を。

さびしくないように
そばにいるように
花を植えましょう。

好きな花なんてないと思う。
だからなんでもいいの。
ただ 華美でないやつ。
草花のような
可憐で強い。
そして
季節がめぐって
新しい芽が出るような
そんな花を。

植えましょう。
あのコのために。





〜夢〜


へんな夢を見た。

私はミーコを抱いて寝ている。
けれど、どこか表情が違う。
あのミーコじゃない。
 ああ、そうか。 ミーコって死んだんだよね。
そう思った時、、
 じゃあ、ここにいるミーコはなんだ?
あれ?死んだネコってミーコじゃなかったっけ?
私、2匹も飼っていたかな?
頭がおかしい。
どうしても思い出せない。
私は聞く。
「ねえ、お父さん。これミーコでしょ?
あの死んだネコってなんて名前だっけ?
ねえ、お父さん!」
私、同じ名前をつけたのかな?
私、まちがえた?
そうして。
記憶の糸を手繰り寄せ…
気がつく。納得する。
まちがいじゃない。
そうだ。
私が失ったのは

「唯一」のミーコだったんだ・・・

そんな夢を見た。




〜ねこ〜


ねこは群れない。
でも、寒がりや。

ふだん寄りつかないくせに
冬になると膝の上で眠る。

ねこは群れない。
でも、さみしがりや。

子供の声は苦手なくせに
誰もいないとナゴナゴ鳴いて人を呼ぶ。

ねこは気まぐれ。
呼んでも来ないのに
呼ばれなくても来る。

ネコは気まぐれ。
いつもどこかにいたのに
今はどこにもいない。




〜写真〜


旅行中の写真を見つめる。
現像したばかりのその写真の中には
私一人。
目を、凝らしてみる。
けれど、やっぱりいない。
当然だ。
いるわけないのに。
でも、前日に撮った写真だから
何か信号があるんじゃないかって
思ったのよ。
…心霊写真でもよかったのに





〜居〜


ガタガタッ
ドアが音をたてる。
あれは 強風。

戸が 少おし開いている。
なぜ、きちんと閉めないの?

ふとんが プクッとふくれている。
でも さわるとぺっちゃんこ。

誰が飲むの?
洗面器の中の水。

足元にあたる物。
それは 物いわない洗濯物かご。




〜ウンチ〜


部屋の中でミーコのウンチを見つけたよ。
おかしいね、おかしいね。
ミーコはもういないのに
あれから2週間もたっているのに
ウンチだけが残っているなんて。

カチカチに固くなっているミーコのウンチ。
部屋の中で見つけたよ。
便秘になって薬で出したミーコのウンチ。
でも、「私の部屋ではしてないよ」って
ちょっと自慢してたのに
やっぱりしてたんだね。

おかしいね、おかしいね。
今頃になって気づくなんて。
もう匂いもしない
ミーコのウンチ。




〜砂〜


ミーコのトイレ そのまま
片付けようと思うけど
砂は全然汚れてなくて
そのまま捨てるのがもったいないような気がして。
捨てられないのです。
足跡が残っているから・・・




〜雪〜



車を走らせながら
降る雪を見たコトがありますか?
花火のようにとてもきれいです。
とてもきれいで きれいすぎて
・・・切なくなります。







〜冬〜



死ぬのなら冬がいい。
悲しみもさびしさも
寒さのせいにできるから
ぬくもりが恋しいのも
冬のせいにできるから




〜服〜


もう 黒い服を着てもいい。
ミーコの毛がつく必要がないから
でも、よく見てごらん。
服にはまだミーコの毛が
ついてるんだよ。


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